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| おしゃれノート | ||
| 家で落ち着いて読書をするというのも、雨の日の過ごし方の一つです。今回そんな日におすすめしたい本は、「博士の愛した数式」(小川洋子著、新潮文庫)です。事故で記憶力を失くし、80分しか記憶がもたない数学者「博士」と、彼にとってはいつも“新しい”家政婦の「私」、そしてタイガースファンで10歳になるその息子「ルート」、この3人のふれあいを描いた、あたたかく悲しくもとても優しい物語。数学をこよなく愛する博士は、その美しさを2人に伝えようと試みます。文中には完全数や友愛数、数々の公式なども盛り込まれていますが、不思議と難しさを感じることなく、頭にスッと入っていきます。数学という感情が入り込む余地の少ない題材が物語の中心に据えられ、それが詩のように本の中に溶け込み、全体的にロマンチックな雰囲気さえ醸し出しています。記憶の保持ができないため、瞬間的に心を通わせることはできても、またすぐに一からやり直しの毎日。博士の古びた背広には、忘れないようにと記憶があるうちにメモした紙が、いくつもクリップで留められています。3人が現実を十分に理解しながら、だからこそ限られた時間を大切にすごし、お互いがお互いを愛おしく思い慈しむ姿が、あまりに美しくて切なく涙をさそいます。 第一回本屋大賞受賞。とにかくみなさんに、一ページ一ページを大事に読んでいただきたい名作です。憂鬱な雨の日も、きっとあたたかで素敵な一日になるでしょう。 |
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