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| いちじく | ||
| 十日くらい前、庭のいちじくが二個、急に大きくなった。毎年、近所の小学校から運動会の練習の声が聞こえるころ食べ始めているのに今年はずいぶん早い。色もついてきたので、いやしん坊も手伝って百科事典を開く。面白いことが書かれていた。「冬に切った枝からは新しい枝が伸びて秋果がつき、切らない枝に夏果がつく・・・」ということ。うれたのは本物で、いま毎日三、四個が手作りのパンと共に朝の食卓に出る。 いちじくを”無花果“と書くいわれもおぼろげには知っていたけれど、百科事典の説明でさらにはっきりした。「果実のように見える部分は花托(かたく)が肉質になったもので、内壁に小さな花をつけている。花が見当たらないままに果実ができるので、無花果の名がある。」と いちじくには迷信かあるという。この木が屋敷内にあると病人が絶えない・・・。なんともいやなことで、このおいしいいちじくにとっては迷惑しごく。ところがいつだったか、次のような新聞記事を目にした、「いちじくにはたい肥がひじょうに効く。たい肥はうめごえ(埋肥)といわれるところから”うめき声“につながり病人が絶えないという迷信に結びついたと考えられる」。しめた!私のいちじくはこうして面目一新。うれろ、食べろということになったしだい。 いま、毎日いちじくの根元にスイカやブドウの皮を捨てている。一週に一回とか二回のゴミ集めに対する悩みもなく、うめ肥、うめ肥と思い出し、ゴミを捨てるほどに大きな実がなる。いちじくさまさまというところである。 午後のひととき、色のついた実を求めて木の下に立つこともしばしばである。 |
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