No.22 平成12年9月
 
 

 

 
9月(長月)の歳時記

お 盆
郷 田 敏 男
八女市柳島

絵 梅 本 光 男 広川町長延
 「アーメンフーレー ヒノクレロー。ボーントショーガツァ チョイチョイケー」(雨は降れ降れ、早よ日は暮れろ 盆と正月はちょいちょいござれ) 住み込みの守りあんちゃんとばぶどん(作男)の哀調を帯びた歌です。望郷の情としばし心と躰の安らぎを求める作男と子守り娘の心情が籠っています。盆と正月だけは暇を貰って懐かしい家へ帰れます。が、骨休めと息抜きは雨降りか寝ている時だけです。前借にとらわれた桎梏の身の切なる願望なのです。盆になると奇妙にこの歌を思い出します。
 お盆はヨケです。が、盆の三日間は忙しい日でもありました。「ソータイ。盆メーリノオ客マカネーガノヤ」「ソレニ ダゴ作ッデン 前カラ ハタリ粉バハタッテノー」「精霊サン迎エン時ガ丸ダゴデ 送ンノ時ャ 長ダゴバ アギョーッタタイ」「ソンオ箸ガ 麻殻ジャッツロガ……」「ソーソー。カールカッデ ナカラニャンチューテ麻殻ジャッタコタ」「ハナショーット イロイロ初手ンコッバ オメダスバイ」
 成る程成る程、あれこれ記憶が蘇ってきます。十三日の明け方の迎え火と、十五日の夕るしの送り火は麻殻を焚きます。門口に掲げる送り提灯の灯が今でも心をとらえます。旧盆は新暦の九月半ばですから、精霊さんを送りに行くと墓地をとり巻く高台の木々からはぢゅぐぢゅぐっしょの鳴き声が降るようでした。精霊さんへんぼ、精霊さんだご、精霊さん送りなど因んだ往時の言葉が思い出されます。お盆が過ぎると朝晩は急に寒会がよくなります。
 
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