子育てサークル

 
グリーントマトの子育て日記
絵本との再会

 夏休みにアジア美術館で開かれた『絵本ミュージアム』。絵本から飛び出したセットが各コーナーに作られ、会場自体が絵本の世界だ。子ども達が赤ちゃんの頃、オムツをはめた格好で何度も繰り返し手にしては舐めたり指差したりした絵本。言葉を喋るようになった幼児期には飽きもせず同じものを読んでくれと持ってきた絵本。つい数年前まで家の本棚に並んでいた絵本。そんな懐かしい絵本の数々、セットがそこには広がっていた。
 成長し、すっかり絵本と縁遠くなった小学五年生の息子。「僕は行かなくてもいいや」と、言っていたのをこの日は無理やり一緒に連れていった。ところが・・・「あ、これ!」と、言って駆け寄ったのが『はじめてのおつかい』のコーナー。絵本の中のおつかいに行った店の模様がそのまま再現されている。実は息子が保育所時代、絵本貸出日には自分で何度も何度も『はじめてのおつかい』を借りてきていた。やはり十年近く経った今も心の記憶に残っていたのだ。「これ大好きやった!」と、にこにこしながら息子はしばらくその店の前(セット)から動かず、「待って!もう一回これ読みたい!」と、言って会場に置いてある絵本の中から『はじめてのおつかい』を探し出した。
 幼い日に出会った絵本は、成長した今でもあの頃と同じ表紙で同じ絵で、変わることなく息子を迎えている。幼い頃に引き付けた魅力は今も彼の心を捉えている。世の中がこれだけ変わっていき、人の感性も変わっているのに、何人もの幼児が少年から大人へと成長しているだろうに、ずっと変わらないものが存在しているのって素晴らしい。絵本の魅力って素晴らしい。
 再会した絵本を読む息子の姿に、小さな手で絵本を握りながら私の膝の上にちょこんと座って読んでいた当時の姿を、思わずダブらせてしまった。成長の寂しさと嬉しさを感じながら、絵本を通して懐かしいあの頃に出会ったようだった。
                                   (志穂)


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